2018/01/18

エグゼクティブコーチの視点:その人自身が本領発揮していく意識状態とは

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コーチの側から見たエグゼクティブの姿

コーチングを受けた側の変化は語られることがありますが、それに関わるエグゼクティブコーチの側からの視点の話はなかなか語られないもの。日夜、企業エグゼクティブと関わっているコーチが普段どんな視点でリーダーの皆様を見ているか、何を意図して関わっているのか。リーダーの皆様はご興味ありますでしょうか?

そんな視点から、CTIのファカルティであり、企業エグゼクティブへのコーチング経験も豊富な橋本博季さんに話を聞いてきました。

後半は意識の成長に着目したリーダーシップ開発プログラム「The Leadership Circle®︎TLC)」のお話になっていきますが、それも含めて企業で働くリーダーの皆様にとっても価値の高い情報になっていると思いますので是非ご覧になってください。


役員から事業部長さんクラスに対するコーチングを実施

山田)現在は主にどのような方を中心にコーチングをされているのですか?

橋本)対象は主に企業エグゼクティブです。筆頭は役員クラスの皆様ですが、事業部長さんクラスを中心に課長さんぐらいまでの範囲で対応しています。他には、ベンチャー企業のトップに近い人など、何かしらの「権限」を持った方が対象です。

山田)多くの部下をお持ちの皆様ですね。

橋本)そうですね、人によっては結構な人員を率いる事業部のトップの方もいらっしゃいます。

これらの方々に接していて感じること

山田)そうした方々に対してコーチングを提供していて、何か感じることや難しさなどありますか?

橋本)ある種の社内競争を勝ち抜いてその地位まで来られた方々なので、非常に優秀な皆様です。そして、会社が求めていることについて成果を出していくことに長けた方達です。同時に、現代は世界が複雑になってきている時代であり、これまでのやり方は通用しなくなってきている、ということはわかってもいる。

山田)頭ではわかっている。

橋本)そう。頭ではわかっているのだけれど、それに対して「自分がどう変化していくのか」というところについては、なかなかリアリティが持てないところがある。必要だとはわかっていても、なかなか難しいところじゃないですか。

山田)そうですね。

橋本)特に組織において自分がリーダーシップを発揮していくときに「世の中的なステレオタイプのリーダーシップ」とか「会社から求められている姿、会社のトップ層のようなロールモデル」のイメージはできているのですが、「自分自身がどんなリーダーシップを発揮していくのか」とか「自分がどうなりたいか」とか、そういうことを考える機会が案外なく、問われたりすることも少ない立場の方々です。

その中で「自分らしく動く」「自分のユニークさを活かしていく」ということが頭ではわかっているのだけれど実際にはなかなかできない。

そのような現状があるように感じています。

「外にあるもの」を追う意識状態

山田)何か「外にあるもの」を追ってしまうイメージですね。

橋本)そうそう。例えば、ステーィブ・ジョブズとか孫正義さんとか、すぐにそうした方の話が出る。もちろん、これらの素晴らしいリーダーを参考にするのは良いのですが、でも、そうした人とは同じ姿にはなれない。

自分がどういうリーダーになりたいか、とか、そういうことを考えるのは、企業リーダーの方々にとっては結構大変なのだろうなと感じています。

山田)聞いても出てこないのですか?

橋本)多くの人は「会社や組織がどうなったら良いのか」ということについてはかなりすらすら答えられます。一方「そもそも自分がどうしたいのか」という点についてはなかなか難しそう。

「事業部長として〇〇が必要」など、役割としては答えられるのですが、その部分と「自分自身がどうか」ということがつながっていないことも多くて、戸惑われる方も多いようです。

役割と自分自身がつながる必要があるのは何故?

山田)一つ根本的な疑問を出したいのですが、確かに僕たちコーチは「役割と自分自身がつながっている」ということを大事にしますよね。でも、何故これは大事なのでしょうか?

橋本)う~ん。「自分自身にとってこれがどういうことなのか」ということが深まっていないと「当事者意識」が難しくなってくるのではないかと思うのです。もちろん、ないわけでは無いのですが。

山田)「責任感」としての当事者意識はある。

橋本)そう。それは役割としての当事者意識であって、それがその人の人生とはつながって来ない。

それが「自分の人生にとってどういう意味があるのか」ということが深まらないと、本当の意味での当事者意識とか、コミットメントって…  それを持つことは大変だと思うのですよ。

山田)しんどいですね。

橋本)そう、しんどいのですよ。

山田)無理やり駆り立てているというか。

橋本)それが無いと、最後の一踏ん張りがかなり大変だと思うのですよ。特に上の階層に行けばいくほど

そして、役割で生きていて「自分がどうなんだろうな?」と思うときもあると思うのです。「自分は一体何をやっていたんだろうな?」みたいな問い。

当事者であるというか、「自分の人生の中で、これが何なのか」というところがあるかないかという点は、その人自身が本領発揮していくという点で、かなり大きな影響があると思っています。

山田)「かなり大きな影響」ね。

橋本)そう、これはもう確信ですね。

それがない状態でサステイナブルに結果を出しているリーダーをあまり見たことがありません。そこはとても大事だと思いますよ。

山田)影響力の差に出てきますよね。

橋本)そう。「どこから」それを言っているのかという点でね。「役割」として言っているのか、「自分自身が譲れないことだ」としてリスクをとって言っているのか、そのパワーというのは大きいです。

そして、それを受け取る側にはそれが強く伝わってくるので、リーダーの「巻き込み力」にも影響しますよね。

山田)ありがとうございます。では次の話題に進みます。

メンバーを成長させるために、自分が成長すること

ここまで語られたような問題意識について、TLC(The leadership Circle)を導入された結果、どのようにアプローチできているのかというところを聞かせてください。

橋本)そうですねあの

「すごい役立っている」というところはざっくりとあります(笑)

山田)ざっくりとね(笑)

橋本)同時に、具体的に役立っているところももちろんありますが、TLCのベースになっている「成人の成長ステージ」の考え方、これが良いなと思っているのです。

企業で管理職に向けてコーチングのトレーニングなどを担当する場面があるのですが、みなさん「メンバーを成長させたい」といいます。でも、その時、僕はいつも彼らに問いかけることありまして、「それって〇〇さんがどういう成長をすることなのですか」と問いかけます。

人は、人を成長させることは考えるけど、自分の成長のことはあんまり考えていない。特に階層が上に行けばいくほど

山田)「自分が成長する必要性がある」という認識がないのですかね?

自分の「伸びしろ」はまだまだある

橋本)「必要性」もそうだし、そもそもそういう発想・フレームがない。ある程度まできたら人って「そういうもん」みたいな。

山田)そうか、「上がり」的な(笑)。

橋本)そうそう。「事業部長になったら、「だいたい上がり」」みたいな。

でも、それっておかしいじゃないですか。片方が成長しないで片方が成長するって。親子もそうだし。人間関係は双方が成長するもの。

ここに、TLCの「大人になってもいつまでも意識は成長していく」というフレームがあることが、そして、その概念がまず伝わることが、彼らに勇気を与えるだろうなと感じています。

自分の「伸びしろ」が、まだあるのだな、という意味で。

山田)「自分はいつまでたっても成長できるのだ」ということですね。

橋本)そう。それがないと「自分はこういうものだから我慢してやる」とか、「何かを割り切ってやる」とか、そんな反応になってしまう。

それは本人にとってもしんどいのだろうなと思う。そこに「変われる」という物語があることがすごく良いなと思います。

山田)そうですね。「自分が変われる」ということに改めて気づくことで、勇気が湧きそうですね。

だれも悪気のある人は居ない

橋本)あと、TLCを使って色々な人とコーチングをしていて確信があることがあります。

クライアントさんのフィードバックの結果があまり良くなくて、周囲に対してリアクティブのネガティブなインパクトが出ているという時、例えばメンバーを疲弊させてしまっているとか。一人として意図してそれをやっている人、悪気を持っている人はいないということです。

みんな、良かれと思って、なにがしかの想いのもとに行動している。「成功体験を積んでほしい」とか、「成果を出してほしい」とか、「最後までやり抜く」とか。

そうした想いがあるのだけれども、どうもそれがうまく伝わっていかない。

山田)そうなんですよね。想いはうまく伝わらない。

橋本)リアクティブってそういうものだからね(笑)。

そして、「その状態がダメだから外から何かを付け加えなければならない」という反応的な改善ではなく、「もしかしたらネガティブなインパクトになっていることの中に、今後の自分の成長の種・ギフトみたいなものがある」と、成長の道筋をつけていくTLCの考え方は、本人的にも安心すると思うんですよね。

「自分を否定して変えなければならない」ではなくてね。

山田)そうですね。全部否定するのではなく「大切にしているものは大切にして良いのだ」という「赦し」のようなものがあるような気がします。

大切にしているものは大切にする

橋本)コーチとしても「そこはあなたが大切にしていることなんですよね」と、「表に現れていること」は別として、その根底にある想いや願いみたいなものを思いっきり認知できるし、「(大事にしているものは)変えなくても良い」ということが共有できるのは、コーチとしてはとてもやりやすい。

山田)やりやすい(笑)。

橋本)「お前こっちに来い」みたいなインパクトを出さなくても良いから。

山田)(笑)「ここ間違っているから、こっちにきてください」みたいなね。

橋本)そうそう、「お前、頭固いから変われ」みたいな、そういうのを出さなくても良い。

山田)それ、力づくでやると、コーチ側も疲れちゃいますよね。

橋本)そうそう。「奥にある大事なもの」を、本当に欲しい状態に向けて使って行きましょうよ、ということが握れるのはとても心強いです。

山田)すごく信頼関係も深まりそうですよね。

橋本)協働関係は握りやすいです。相手をちゃんと認められるし、「(たとえ悪い結果だったとしても)そこに材料がある」って心から言えるし。そこがTLCのいいところかなと思います。

山田)ありがとうございます。TLCについて語っていただきました。

「リーダーシップ開発」の真の指針となるツール

山田)ここからはTLCについてリコメンドのお言葉をいただければと思っています。どういう人がTLCの資格コースを受けていただけるのがいいのか、みたいな視点で何かコメントをお願いします。

橋本)うん「どういう人が」ね(笑)。

全員受けてもらえればいいと思っているんだけど

あえていうと、特に、組織のリーダーについては、日頃から「リーダーシップが大事」だと言われているけど、そもそも「リーダーシップとは何なのか」とか、「個々のユニークなリーダーシップはどのように発揮するのか」とか、そういう指針ってなかなか難しい。

そして、TLCにはその材料がある。その人が元々持っている良さ、特徴から作っていくという思想があって、その材料が見えやすいし、周りの人とも共有しやすい。

特に、変革が必要となっている組織のリーダーに届くといいなと思います。一生懸命やっているのだけれど何か違う方に行ってしまうとか、結果を出しているけどサステイナブルではないとか、そういう状況の人を応援したいというコーチにはすごく良いと思います。

あとは、「役割でパフォーマンスを発揮する」ということの支援だけにとどまらず、コーチングを通じて、その人自身の人生もゆたかになったり、人として成長していくなど、そういう視点も持っていたいと思うコーチの方にはぜひ学んでいただけたらと思っています。

セッションでもそうなるのですよ、会社の話もしながら、家族との関係の変化の事とかの話題、出るでしょ。

山田)出る。

橋本)その経験って仕事にも役に立ちますよね。そのような形で、その人自身の人生全体をゆたかにする、成長してもらう、新しいステージに行くことを応援したいという思いを持った人にはTLCは役に立つのではないかなと思います。

山田)そうですね。パフォーマンスの側面だけではなく、Wholeな、その人自身の成長を応援して行きたいという人には良いのではないかな、ということですね。

橋本)すごく良いと思うし、コーチングがやりやすくなるのではないかと思う。

山田)あ~、なるほど。「やりやすい」ね。

橋本)コーチにとって心強い。

山田)そうですね。心強い(笑)

橋本)TLCがあると会話が変なところに行かないというか、無用なコンフリクトや混乱は少ないというのは経験としてあります。そこがオススメですね。

山田)ありがとうございます。では、このあたりでクローズしていきたいと思いますが、何か言い残したことはありますか?

橋本)こうして話していて改めて思った事ですが、TLCは本当にコーチにとって心強いツールだと思います。コーチとして自信をつけてやっていく上でもとても強力なツールなので、ぜひ、興味のある人は資格コースにトライして欲しいなと思います。

山田)貴重なお話をどうもありがとうございました。

橋本)ありがとうございました。

 

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