2017年10月27日
コーアクティブ・コーチ(パーソナルコーチ)が、システム・コーチング®を学ぶとどうなるかの対談が行われました。
システムコーチ 佐藤扶由夫 CRR トレーナー
コーアクティブ・コーチ(パーソナルコーチ) 平田淳二 CTIトレーナー(CRRのORSC基礎コース受講済み)
パーソナルコーチがシステム・コーチング®を学ばなければいけない理由
平田「唐突ですが、パーソナルコーチがシステム・コーチング®を学ばなければいけない理由はなんですか?」
佐藤「学ばなければいけない理由はないです」(笑)
「ただ、平田さんぐらいのベテランだったら、かなりの数のコーチングをしているじゃないですか。ですので、さまざまなテーマについてコーチングしてますよね。」
「例えば職場のマネジャーさんをコーチングすると、職場の問題がコーチングのアジェンダになることもありませんか」
平田「はい、あります」
佐藤「そういったコーチングで、職場の問題をなんとかしようとアクションを決めて行動をとったのに、それがうまくいかなくて打ちひしがれて帰ってくることはありませんか?」
平田「そうですね。確かにありますね」
佐藤「あまりうまくいかなかったことや、失敗から学ぶという観点から、それは悪いということではないのです。」
「しかし。それが続いていったときに、この問題は、その人個人の課題だけではなく、職場の関係性や、職場のカルチャーだったり、チームの何かが、そのような問題を起こしていると感じることはないですか?」
平田「そう言われるとありますね。」
佐藤「実は、システム・コーチング®のコースに参加するパーソナルコーチの方にも、それを感じる人が多いのです。その人(個人)が光輝く、充実するというパーソナルコーチの関わりは素晴らしいものですが、その人がより光輝くために、どうしても関係性のことが出てくることが多いと感じていて、そこにコーチングでリーチしていく手法がほしいと思って、システム・コーチング®のコースに来る方は結構います」
パーソナル・コーチングとシステム・コーチング®の違い
平田「パーソナル・コーチングとシステム・コーチング®の違いをもう少し教えてください」
佐藤「一言でいうとスポットライトが当たっているところが違います」
「パーソナル・コーチングでは【事柄より人に焦点】という言い方をすると思いますが、ここでいう【人】とは個人ですね」
「システム・コーチング®では、個人ではなく複数の集合体に焦点をあてます」
「人が複数いると、必ず関係性ができます」
「例えば、その二人が全く見知らぬ二人だったとしても、関係性がない、という関係性ができますよね」
平田「なるほど、面白いですね」
佐藤「Aさん、Bさんがいて、Aさん、Bさん、それぞれに焦点を当てていくことがパーソナル・コーチングだとしたら、Aさん、Bさん、その集合体、システム・コーチング®では第三の存在といいますが、第三の存在にも焦点をあてて、その関係性が成長していく、関係性が自分たちで答えを見つけて成長していくんだ というのがシステム・コーチング®です。」
平田「コーアクティブ・コーチングでは本質的な変化を目指してコーチングをしていて、本質的な変化をゴールとしています。正確にいうとそのゴールが連続して出てくるのですが、システム・コーチング®では、どんなことを目的にコーチングしていく感じでしょうか」
佐藤「そういう意味でいくと、いくつかの角度からお答えできます」
「システムは自ら知性と生み出す力があるということを礎としてもっています。ところが、世の中のいろいろなシステムはそういうふうになっていません」
「ですので、システムが自分の自らの力が発揮できるようにするのが第一段階で、それが整うと自走しだす。それは組織だけではなく、プライベートや家族も同様で、もし、ぎくしゃくしていたとしたら、風通しがよくなります」
「最終的にはシステムコーチがいなくても、自分たちで何かを動かしていくようになる」
平田「自分の理解のために確認させて欲しいのですが、もともとはスムーズに流れていくものだけど、仕事やいろいろな関係性でぐちゃぐちゃしてくる。そうなると流れが滞る。本来の流れになるために整えるのシステム・コーチング®」
「こんな感じでしょうか」
佐藤「システムを体に例えたら、体質改善、漢方薬というイメージ。抗生物質のようにいきなり効くのではなく、体を深いところから変えて、健康的になる」
平田「ありがとうございます。だいぶイメージが掴めたので、具体例があったら教えてください」
佐藤「数年間に急激な統合が行われた会社がありました。いくつもの会社が数年の間に統合された会社です」
「インタビューを事前にさせてもらったときは、メインになる大きな会社同士がギクシャクしていて、なかにはお互い憎み合っている雰囲気もありました」
「その中でシステム・コーチング®で担当したのは、事業部長、執行役員を集めた横断的で重要なプロジェクトでした。システム・コーチング®をやることで、お互いが誤解していた、こういう思いで仕事をしてきたということがお互いがわかるようになりました。最初はお互いを怖れているような関係性だったのに、最終的には定期的に飲みにいく関係に変化しました」
「成果物としても、最終的にはアウトプットを出して、役員会に提出することもできました」
システム・コーチング®を学ぶといい人
平田「システム・コーチング®を学ぶといいのではないか、と思う人はどんな人でしょうか?」
佐藤「人を束ねるような立場ですね。役職、肩書に関わらず、人をマネージする立場の人は全員学んだほうがいいですね」
平田「その理由は?」
佐藤「人が集まる理由は、ビジネスでもそうだし、何かやりたいことがあって集まっていると思いますが、そのときに組織体、人と人との集まりっていうことを保持していくっていう機能がない集まりはないのでないかと思います」
「ビジネスや、やることが順調に伸びているときは、「組織体」という部分は気にしないでいることが多い。やっていることが調子良く、みんなでモチベーションが上がっているときはその部分が気にしなくてもちゃんと組織が保たれたりする」
「しかし、ビジネスが伸びていって、組織体が急激に大きくなるときには、痛みが発生するケースが多い。成長痛のようなもの。そこに手当をしないために、あとあとまで尾をひいたり、リーダーが自分で自分の首をしめることになったりする」
「だったら、その黄色信号の一歩手前で手をうっておいたほうがいい」
平田「これは自分でいうとマルチビタミンを飲んだりすることと同じかな、ちょっと違うかな」
佐藤「いやいや、近いものがあると思います」
「システム・コーチング®は、結構危機的状況になってから呼ばれることも多いけど、違う例もあります。例えば、私自身も夫婦で月1回システム・コーチング®を受けています」
「これは関係性のメンテナンスのようなもの」
「悪いことがあるから受けるとか、そういうものだけではなく、メンテナンスも重要です」
基礎コースと応用コースの違いは?
平田「私は、かなり前に基礎コースを受けましたが、基礎コースと応用コースの違いは何でしょうか」
佐藤「基礎コースは創設者のフェイスさんが言っていますが「お味見コース」です。」
「システム・コーチング®に必要な要素は2日間ですべて入れています。すべてと言ってもミニマム必須な内容です。それを持っているだけでもかなり違いますが、実際に具体的な課題に取り組んでいくときに、そのために必要なパーツは応用コースにすべて入っています」
「特に大きい違いは問題が起きたときに、システム・コーチング®で何をすればいいのか?これがパーソナルコーチングとの違いにもなります」
「コーアクティブ・コーチングでは、コーチングで指針を使うことになっていると思いますが、システム・コーチング®は指針ではなく「見立て」がセッションをやる上でのキーポイントです。システムがどういう状況になっているかを関係性の視点から現状を見立てたり、システムがどうなりたがっているかを見立てて、お道具箱の中から、じゃあこれをやってみよう。という感じです」
「これは申し訳ないけど応用にいかないとないです」
平田「それは、とてもよくわかります。自分が基礎しか受けていないので、今の話はとても理解できます」
「話が変わりますが、私が、コーアクティブ・コーチングのコースの紹介で話していることとして、基礎コースで身につけられるのは、傾聴やコーチングスキルなどで、仕事で言うと部下と話すスタンスが身につけられる。」
「応用コースに行くと、部下が主体的に行動するところまで学べる。基礎コースだけだと部下が主体的に行動するまでは、難しいかもしれない。と伝えたりもしています。」
「コーアクティブ・コーチングのコースもシステム・コーチング®のコースも基礎と応用の違いは、さまざまな現場に対応しているということかもしれませんね」
基礎コースで得られるもの
平田「基礎コースだけだと何が得られますか?」
「自分で聞いといて何ですが、基礎コースは意識が変わりますね」
佐藤「CRRのトレーナー同士で話していることだけど、基礎コースのアウトカムは、システムという存在がある、システムを感じる、わかるようになるということかもしれません」
「他には、システムという角度からチームに関わる見方と最低限のお道具セットが手に入る」
平田「そのことは、結構すごいことですよね。どれだけすごいことかというと、これは私が基礎コースを受けた体験で話すと、システムという存在や角度からチームに関わるということは、今までチームを見ていた上司である自分の視点とは違う視点でチームを見るという感覚です」
「視点を変えてみることにより、チームへの関わりや考え方に変化がおこり、そのような見方を持っていると、チームの個人一人ひとりへの関わり方も変わってきます」
「チームを率いている、マネジメントをしている人にとっては、最低でも基礎コースは受けるべきなのではないかと感じました」
基礎コース日程 12月9日(土)-10日(日)