2017/11/24

サボタージュ

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今回の一つ目の問いは「ずっとやろうと思っているのに、なかなか実行できていないことは何ですか?」です。

いろいろな理由があって、やりたいのにやれていないことはたくさんあるのではないでしょうか 。

理由の一つとして環境的、物理的なことが影響している場合も多々ありますが、「思考」と「視点」によっ て可能性を阻んでいることも少なくありません。

しかしながら、この「思考」と「視点」は自分にとってはあまりにも当たり前過ぎて、自覚することが非常に困難なのです。私の経験ですが、コーチングセッションでコーチに言われて初めて気付くこともしばしばです。今回ではまず可能性を阻む「思考」について書いていくことにしましょう。

「サボタージュ」の存在

コーアクティブ・コーチングでは「サボタージュ」という一つの概念があります。言葉としての「サボタージュ」は 「怠業、サボる 、破壊する、妨害する」というような意味として日本語では訳 されていますが、コーアクティブ・コーチングで伝えている「サボタージュ」を説明するのに最も近い言葉としては、「自己制限的思考」です。

自己の可能性を制限する思考、つまり「現状維持推進派」の思考で、何か変化を起こそうとするときに、「現状のままの方がいい、現状の方が安全である、変化はリスクである、失敗はしないほうがいい」という考え方です。

皆さんの中にもこのような思考がご自身の行動を止めたことがあるのではないでしょうか。「変化させない」という言葉のイメージは「行動しない/何もしない」ととらえがちですが、「ずっとやり続けていることを止めない/やめられない」というものも含まれます。

新しいことをスタートさせる訳でもなく、これまで続けていることをやめることもなく、環境の変化や周りの流れに逆らわずに現状のまま毎日を過ごす、という生き方を選択しているのなら構わないのですが、「選択」をしている訳ではなく、無自覚にその状態になっているのであれば、今一度、本当はどのような生き方や働き方をしたいのかという問いと共 に、ご自身のサボタージュを探求してみてはいかがでしょうか。

コーチのスタンス

例えば、行動を起こさない部下Aさんがいるとしましょう。通常であれば「Aさんは行動を起こさない人である」という評価のもと、意識をどうにかして変化させ、行動するよう指導していくというアクションをとっていくでしょう。

一方コーチのスタンスは、「Aさんの行動を阻むものは何だろう、何がAさんの行動を止めさせているのだろう?」 というところから始まります。Aさんそのものが原因である、とするのではなく、Aさんに得体のしれない何者かが行動を止めさせている、それは何なのかを一緒に探求していくというスタンスです。

サボタージュとAさんを切り分けてかかわるのです。このスタンスを取るだけでも、相手へのインパクトはかなり違ってきます。責められている感覚は取り払われ、一緒に可能性を探ってもらえる、という安心感です。コーアクティブ・コーチングではこのサボタージュを一つの生き物として 扱うことがあります。

このサボタージュを擬人化し 、「サボタージュはあなたが何かトライしようとするときに、何をささやきますか?」だったり、「そのサボタージュはどんな性格をしていますか?」というような質問をして、よりサボタージュの輪郭を明確にしていきます。

サボタージュの声

ちなみにあなたのサボタージュさんの口癖はどのようなものですか? 何か新しいことを始めようとすると、

「それに手をつけると面倒臭くなるよ」

「それをすると、自分の時間がなくなりますよ」

「人ってそんなに簡単に変われるものじゃないですよ」

「やっても無駄だよ」

「お金が十分にないならやめた方がいいんじゃない?」

「人がいないからそれは無理だよ」

「そんなことすると、あなたが傷つくよ」等々、

この中になじみのある声はあるでしょうか。さらに言うと、この声の後にはもれなく「だって…」という、そう考える根拠、つまり「やらない方がいい」という説得材料がついてきます。

世間では「言い訳」ととらえることが多い言い回しです。これまでの人生経験の中でうまくいかなかったこと、失敗事例が確固たる証拠なので、まんまとその声に「そうだよね」と同意させられ、新しいチャレンジはせず、現状のまま日々過ごすというストーリーになるわけです。

サボタージュは悪者ですか?

さて 、ここまで読んでくると「サボタージュ」は悪者のように感じられるかもしれませんが、そうではありません 。

「サボタージュ」は前述のとおり「現状維持推進派」ですので、自分を失敗やリスクから守ってくれている存在でもあるのです。どんな結果をもたらすのか分からない世界から遠ざけ、安心安全の世界にとどまらせてくれるからです。

「これをするとどうなるかなぁ。大丈夫かなぁ。失敗するとどんな災いが降りかかるかな…」とまだ起こっていない未来を不安がる場面には必ず「サボタージュ」が存在します。

大事なのは、そのサボタージュの声に気付けるかどうかです。気付くこと、若しくはフィードバックをし合うことで明確になれば、現状維持かトライしてみるかを 選択することができます。

そして、サボタージュの声が真実なのかどうか改めて情報取集するアクションをとるでしょう。成功を確実にするためや、成功率を上げることを考えつくすことはビジネス上大切なプロセスであり、逆にサボタージュは無謀な行動を止めてくれる感謝すべき存在だとも言えます。

サボタージュととう付き合うか

残念ながら「サボタージュ」が消えて居なくなることはありません。大事なのは 、「サボタージュ」に支配されないことです。サボタージュは私たちの「思考」に巧妙に侵入してくるため、 支配されていることすら分かりません。

また、これまであまりにサボタージュの声に慣れてしまったがために、サボタージュと自分が一体化してしまい、サボタージュの声が自分の本当の声だと思い込んでしまっている人も少なくないのです。

ただ、明らかなのは、サボタージュに支配されるとエネルギーを奪われて心の生き生き感がなくなります。そこに気付けたら自分の声に戻る入り口です。まずは「現状維持/新しい行動はしない」を選択したときや、ずっと同じパターンを繰り返している日々に「サボタージュ」が耳元でささやいていないか意識を向けてみてください。

今回の柴原の記事は週刊ホテルレストランで連載されています。

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