2018/01/31

トレーニングマネジャー

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これまでコーチのかかわり方、コーアクティブ・コーチングの特徴につい て書いてきましたが、今号では、私の経験も交えながら、これからのホテル業界の発展に向けて現在感じていることを書いていきたいと思います。

トレーニング・マネージャーの存在

私が勤務していた会社は「能力開発」という部署が確立されており、トレーニング・マネージャーという能力開発に特化した役割を担う環境が整っていました。

目まぐるしく変化する社会環境 (特にホテルは外資系ホテルの参入や新ホテルの建設等々)の中で、会社の3年後、5年後の発展を見据え、必要なトレーニングを計画、プログラミングして実施していくのが主な仕事です。今、各部門や各階層に対しどのような能力を開発していく必要があるのか、今何に着手しておかなければ5年後勝ち残れないのか、人材流出(※ ホテル業界では転職が当たり前ですよね)を考え、各人がキャリアを積み上げていくためにどのような仕組みが必要なのか、等々を関係各所合意の上、 年間プログラムの作成、予算承認をとり実施していくのがトレーニ ング・マネージャーの役割です。

ただ、多くのホテルや企業では人事・総務が一手に担っていることが多いのが現状で、給与計算をはじめ、労務全体を管理しながら能力開発も担うという大変な状 態です。 そうなると、 多くの場合全体認識がなかなか保てず、現場のOJT任せになりがちで、問題が生じたときに慌てて研修が行なわれるという無計画な教育、つまり行き当たりばったりの 「継ぎはぎ教育」になっていくのは当然です。

私は、これまで会社の長期的な未来や、個人のキャリア形成を考えるなどとは程遠い状態の企業を見るたびに、当初、私自身がどれだけ恵まれた環境で教育に携わらせてもらったのかということを実感します。

コーチングの機会を常に存在させる

トレーニング専任者を雇いたいのは やまやまだが、バック部門に予算はこれ以上かけられない・・・それなら現場に人材を投入しなければ・・というのが専任を配置できない主な理由としてよく耳にします。

コーチとしてのアンテナを立てると、この葛藤と嘆きにあきらめや行動を起こさせない何かが存在するよな感じがします。

さてそれはサボタージュ(現状維持派の声)でしょうか。それとも何かの視点に陥ってるのでしょうか。少しここからコーチとして問を2,3出してみます。一つ一つの問についてあなたらならどんな答えがでてきますか。

・いつまでその状態を続けていきますか?

・何か恐れているもの(こと)はありますか?

・何から目を背けていますか?

・「計画的に教育が行われる」状態を創るために、何を変える必要がありますか?

 

さて、この問いの印象はいかがでしょうか。少し強めのアプローチに感じられたかも知れませんね。これは核心にせまっていく問いです。

コーアクティブ・コーチングでは問題を解決するためのギャップ(理想と現実)アプローチではなく、本質的な変化に向けたかかわりです。また、事柄だけに焦点を当てるのではなく、多くの時間その人そのものに焦点を当てていくかかわりですから、上記の問いの主語はすべて「あなたは」だということです。

「コーチング」は「指導/トレーニング」よりも優しいアプローチ、生温かいかかわりだというイメージを持つ方も多いのですが、実はかなり厳しいアプローチなのです。

「いろいろできない理由はあるようですが、本当は、どうしたいのですか?」と、突きつけられるからです。

時には相談者の「力を信じて」このようなアプローチを意図的にしていくことで大きな目的のために行動を促すかかわりをするのです。

通常モードでの意識の置き所や傾聴の方向性を、コーチモードに切り替えてみることで、何かを変える一歩になるのではないでしょうか。こうしたコーチモードでかかわってくれる存在の一人がトレーニング担当者だったりします。

最近では「企業内コーチ」と呼ばれる人たちの存在がクローズアップされてきました(企業内コーチに関してはまた次号で取り扱うことにいたしましょう)。普段から気軽にコーチングを活用する人をどんどん増やしていいくことで、トレーニング選任者を置けずとも人材育成の土壌を整えていく大きなうねりを創りだすと考えます。

ホテル業界の次のステージ

皆さんは離職率についてどのようにお考えでしょうか。ご存知のようにホテル、飲食業界の離職率はほかの業界と比較してもダントツに高い業界です。

離職率は企業の状態を現す指標の一つであり、従業員の満足度、モチべーション、組織運営状態について読み取ることができますし、離職率を下げること、低い状態を維持することが会社の発展、コスト削減につながる要素の 一つでもあると思います。

では、離職率が低いホテルは満足度もモチベーションも高く、素晴らしい組織運営状態でしょうか。すべてとは言いませ んが、私の経験から、両者、課題は同じであり、離職率の低いホテルはそれに加え、人材の還流が緩やかなので、 新しいポジションへのチャレンジがしづらく、そのうちそれが楽になり新しいチャレンジをしなくなります。変化を求めるのをやめてしまう文化となり、そのうち「変化」することは「厄介なこと」「労力を要すること」となり「自ら動かない組織」へと移行します。

そもそもホテル業界は転職しながら キャリアを積んでいけるという特殊な業界です。言い換えると転職がマイナスポイントにならない業界である、とも言えます。

さらに幸いなことに、あらゆるジャンルのホテルが存在します。自分で自分のキャリアをこれ程自由に選択していける業界がほかにあるでしょうか。離職率にとらわれ、 人材が流出しない対策にエネルギーを割くのではなく、「どこに転職しても通用する人材に育て上げ 、次のキャリアをこのホテルで積んでみたい、と選ばれるホテルを作り上げていくこと」こそが、このホテル業界の次のステージではないかと私は思います。まずは、自分にコーチをつけませんか。

今回の柴原の記事は週刊ホテルレストランで連載されています。

 

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