2018/03/07

コーチングの企業導入

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バランス

人は、人生で起こるすべてのことに対して(自分の中で起こることも含め)、バランスを取りながら生きています。

時にはうまくバランスがとれ ず、 すべてのことに意欲がなくなったり、特定の何かに過度に意欲を投入してしまったりして、バーンアウトした方もこれまで何人も見てきました。皆さんの周りにもいらっしゃるのではないでしょうか。

人はそんなにすべてを明確に切り分けて考えることはできないということです。

しかし、企業の中でコーチングを導入している場合に多いのは、大抵「仕事・キャリア」についてのみを扱い、結果や成果がうまく出せない社員に対して「なぜ結果が出ないのか」「どうすれば達成できるのか」「未来のキャリアを描こう」というアプローチに終始してしまうことです。

その人すべてに焦点をあてる

あなたの人生を少し振り返ってみてください。仕事で結果を出せない、意 欲がわかないときの理由が仕事以外のところにあったことはありませんか。頭では仕事にプライベートのことは持ち込んではいけないと思いつつ、心は そんなにうまく整理できないというご経験も一度や二度あったのではないでしょうか 。

つまり、いくら企業の中でのコーチングであっても、取り扱うテーマは「仕事」や「キャリア」だけでなく、その周りにあるテーマも大いに扱う必要があるテーマだということです。仕事以外のことをしっかりと整えていくことで、本来もっている力を仕事に発揮できる状態にするのもコーチングの効果といえるでしょう。

国際コーチ連盟(International Coach Federation:以下 ICF。本部:米国ワシ ントン DC)は、コーチング業界とコーチの社会的地位を確立することをミッションに 1992 年に発足し、1996 年に 設立されました。(日本支部 HP http:// www.icfjapan.com/)ICF に認定された教育機関である CTIは国際コーチ連盟が定める核となる能力水準(コア・コンピテンシー)を順守するプロフェッショナルコーチを育成しています。

私もその一人ですが、このコアコンピテンシーの中でも「(職業)倫理規定」についてはかなり厳しく定められており、倫理的な行動についてのその項目や原則を順守すること、ICFによるコーチとしての能力水準(コアコンピテンシー)にのっとりそれをコーチングの中でも実践することを期待されています。

われわれコーチはその倫理規定の中でも、コーチングの成果に大きく影響する関係性、「利害関係」の有無をまずは一番に考えます。 あなたのコーチが直属の上司であったなら、あなたは上司に自分の人生に起こるすべてのことを話せますか。人はさまざまな領域の事柄をテーマに持ち、それが絡み合って今ここに居ます。もし上司がコーチだとしたら、恐らくすべてを話さず、今後の関係性に問題がない程度の領域で話していく人が多いのではないでしょうか。

逆に上司側も「コーチング」という教育の場面で評価なくフラット(対等な関係) に部下の話を聴くことができるでしょうか。少しでもお互いに不安がありながらコーチングをするとなると、「コーチング」の成果は半減することになるでしょう。

守秘義務

倫理規定の中でもう一つ大事なこと は、「守秘義務」です。話された内容 が絶対に口外されないという環境を双方で創る必要があります。コーチングを始める前の土台づくりとして、相談者が心から安心して話ができる場を創るため、守秘義務は絶対に守らねばなりません。では、この利害関係がなく、守秘義務を順守し、対等な関係で相談者の応援ができる存在とはあなたの職場では誰になるでしょうか。

企業内コーチの存在

最近、トレーニング・マネージャーまでは職務範囲は広くないが、「企業 内コーチ」と呼ばれ、主に 1 on1 でのコーチングを任されている方が増えています。

コーチングセッションで話された内容を相談者の上長にレポートする必要もなく(相談者自ら報告してもらう方法をとる場合が多い)、 利害相反も起こらず、コーチングスキルやコーチとしての在り方を学んだ人がその役割を担うのです。

また、ただ単にコーチを任命するだけではなく、どのタイミングで、どのような人にコーチングを受けてもらうのかを会社の取り組みとして導入し、人材育成の一つのプログラムとして全社的に展開していくというものです。

コーチング導入への覚悟

私自身、前職で次期管理職候補者を対象に、昇格前トレーニングの一環として「コーチング」を取り入れました。昇格前トレーニングには、専門知識やスキル、現場での具体的なリーダーシップ、マネジメント等々を学びますが、コー チングでは心の状態や、そこに向かうモチべーション、そもそも管理職とは当人にとって何なのか、本当に成し遂げたいことは何なのか、今恐れていることは何か等々を明確にし、候補者が生き生きと次へ進むことを応援します。

ただ、全員が全員そのままの道を進むとは限 りません。このコーチングを通して、管理職になることを選択しなくなったり、 離職や異動を申し出る人が出てきたり する場合があります。会社としては、今 の持ち場で力を発揮してほしいという願 いのもと人材教育をしていくのでその選 択は本意ではないのですが、これまで会社のレールに乗って進んできた人が、 コーチングを通して自身で自分の道を選択していく人へと成長したことは、そもそもわれわれが望んでいる「起こっていることに真摯に向き合い、主体的に選択して自ら行動していく自立した人材」に近づいていることであり、コーアクティブ・コーチングでいう「本質的な変化」なのです。

実際、異動希望した方が異動先でとても生き生きと働き、 結果も出している姿を見たとき、これが本来の企業でのコーチングの在り様だと思いました。

企 業でのコーチング導入には経営者のコミットメント(覚悟) が必要です。私が前職でコーチングを思いっきり実施できたのはその「覚悟」 という後ろ盾があったからであり、その覚悟があったからこそ、コーチングを受けた人が自分の人生にコミットしたのだと思います。

今回の柴原の記事は週刊ホテルレストランで連載されています。

 

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