2018/07/09

傾聴とは

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「傾聴」はスキルとして扱わない

「傾聴」を英語で表現すると「Listening =聴く」。ご存じのように、勝手に耳に入ってくるときに使う「Hearing =聞く」との大きな違いは「意識的かどうかということです。「きく」について少し調べてみると、「聞く」は、人の声や話、音を聞くこと、「訊くは質問をするときに使い、「聴く」は「心を落ち着け注意して耳に入れること、自らきく気になって、念を入れて詳しくきく、感覚を働かせて識別すること」、となっています。

「傾聴」ときくとスキルの一つであると思っている方も多いと思うのですが、上記の違いからお分かりのように、「聴く」は明らかに「聴く姿勢、心持ち、在り様」を意味しています。聴き方を練習するということではなく、コーアクティブ・コーチングの礎の四つ目「本質的な変化を呼び起こす」ことを目的としたときに、意識の使い方をトレーニングしていくこと、つまり、どのような「自分」で「聴く」か、を探求していくこと、が、そもそも誰しもが持っている「傾聴」という資質を発揮していくことにつながるのだとしています。

「傾聴」にはレベルがある」

自分自身がどのような意識でいるかで、「傾聴の」に3つのレベルがあるとしています。今回は「レベル1」を中心に書いていくことにしましょう。

レベル1内的形容 Internal Listening
レベル2集中的傾聴 Focused Listening
レベル3全方位的傾聴 Global Listenning

通常、聴いている時は、相手の話を聴いているはずなのですが、レべル1 は自分の内なる声に意識が向いている、言い換えると自分の声を聴いている状態です。皆さんにも経験があるかと思うのですが、例を少し挙げてみましょう。

まず上司から叱られている場面をイメージしてみてください。「この話、早く終わらないかな… (不満や文句)」とか「どうしてこんなことになってしまったのだろう…(反省)」のような感じです。

逆に部下から相談を受けている場面では「自分だったらそんなことしないけどなぁ…(自分との比較)」や「こうすれば解決するのに…(自分の成功体験を振り返っている)」といった具合です。

お客さまとの会話にもレベル1は登場します。「このお客さま、自慢話ばっかりなんだよな…(興味なし)」とか、「うわ!クレームだ!どうしよう!(焦りや恐れ)」、「それはお客さまのわがままで、こちらに非はないし…(正当化)」のように、いろいろな場面で自分と会話をしている状態は無意識によく起こっているのではないでしょうか。

これらを、レベル1の傾聴と分類しており、自分の声を聴いている間、つまり自分に意識が向いている間は相手の話は聴けていない、相手に意識を向けられていない状態であると言えます。

レベル1 のインパクト

自分がレベル1でいたとしても言葉にしなければ相手には分からないだろう、と思われる方もいるとは思いますが、人と話していてこんな気持ちになったことはないでしょうか。

私の話、聴いてくれているの?

人は、一生懸命話しているときは、自分の言いたいことを一生懸命伝わるように話そうとしていますので、その時間は相手がどう思っていようが熱をもって話します。ただ、ひとしきり話しきったり、一呼吸おいたりするタイミングで自分から相手に意識の矢印が変わります。反応が気になるのです。

そのときに聞き手が上記のようなレベル1の意識でそこにいたとしたら、「私の話、聴いてくれているの?」となります。ホスピタリティー産業に携わる者としては言うまでもありませんが、人は言語からだけでなく非言語からもメッセージを受け取ったり感じたりする力があります。ここでお伝えしたいことは、レベル1は言葉を発しなくても相手に影響を与えるものであり、その内なる声があるということをまずは自覚することが大事だということです。

自分自身がレベル1で今相手の話を聴いていることを自覚できたら、意識の矢印は変えることができます。そのためには、レベル1の声に早く気づき、気づいたら自分との会話を止め、相手に意識を集中させて聴く「レベル2の傾聴」へと意識的に移行させることです。その意識と姿勢は、話している相手に「自分の話すことをしっかり聴いてもらえている」というインパクトを与え、それが信頼関係を構築する大きな要素にもなっていきます。

「レベル1 の傾聴」から「レベル2の傾聴」へ

ここまで読んで、レベル1の声を意識したことがないと思われた方は、まず人と話しているときに、自分の内側の声に耳を傾けることから始めてみましょう。

自分の内側の声を聴くためには、内側の声に「意識を向ける」訓練が必要になります。冒頭で「意識の使い方をトレーニングする」と書きましたが、この「傾聴」は意識の使い方をトレーニングするための絶好のテーマです。自分の声がはっきり聴こえるようになったら、そこからやっと「レベル2」、つまり「相手に全神経集中している状態」へ意識的にかじをきることができます。

「レベル2」に関しては次号で詳しく触れたいと思いますが、「レベル2」は全神経を相手に集中して聴いている姿勢ですので、言語、表情、言外に含まれている思いや願い、感情、発するエネルギー、等々をすべて聴いていきます。そうやって聴こえてきたことを、「こんな声が聴こえてきたことを、「こんな声が聴こえてきましたが、ご自身はどうですか」と返すだけでも、その会話に生まれる空気感や関係性の変化を実感できるはずです。

相手の話が聴けなくなるとき

今回の内容を読んで、ある特定の方の話をあまりうまく聴けない、とかうまく話がかみ合わなくていつもあきらめている関係性があれば、絶好の練習の機会です。ぜひ、レベル1の傾聴に気付き、レベル2の傾聴に意識を移行させる練習をしてみてください。新たな学びや自分自身が変化する一歩が必ずそこにあると思います。

コーチの私自身も場合によってはレベル1に長くとどまることはいまだにありますが、この訓練のおかげで楽になったこともたさんあります。ぜひ試してみてください。

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