2018/09/26

傾聴と4つの礎

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「傾聴」の目的

そもそも、人は何のために「聴く」のでしょう。相手や、相手の話すことを理解するため、関係を構築するため、場合によってはストレスを発散してもらうため、等々でしょうか。

コーアクティブ・コーチングにいては、在り様にしても、行動にしてもすべての目的は、「本質的な変化を呼び起こす」ことにつながっています。つまり、「聴く」姿勢でいる目的も「本質的な変化を呼び起こす」ための重要な要素の一つであるとしています。そういう意味では、日常会話の「聴く」の目的を超えてさらに深い目的を持った質感かもしれません。

本質的な変化を呼び起こす(Evoke Transformation)

「本質」という言葉は、現場で何か問題が発生したときに「問題の本質は何なのだ?」のように、日常でもよく使われますが、さらに詳しく「本質」とはどういう意味なのか理解するため調べてみたところ、対義語は「現象」という言葉でした。うわっつらの、見せかけの、という意味で、観察すれば分かる事実のこと、そのモノやヒトや事柄を見てとれる表面的な特徴だとしています。「本質」はその現象が起こった背景となる理由、正体や真髄など、表面的ではない、ものごとの本当の意味や性質のこと、でした。

また、「本質的」の対義語は「末梢的」で、本質から外れているさま、さまつで取るに足りないさまとしています。だとすると、「本質的な変化」とは、うわっつらや表面的な取るに足らない変化ではなく、根本的な性質、特徴、機能の変容が人に起こること、だと言えます。読者の皆さんも、

コーチングでなくてもいろいろな経験を経て「本質的な変化」をしてきたのではないでしょうか。コーアクティブ・コーチング は、意識的にその環境を二人で創っていく時間なのです。

本質的な変化に向けた「傾聴」姿勢コーチという存在

「本質的な変化を呼び起こしていく」傾聴の姿勢なんて、とてもエネルギーのかかることだし大変だ、力技じゃなければ無理ではないか、というイメージを持ってしまうかもしれませんが、前号でもお伝えした通り、「傾聴」の姿勢として大事なポイントは、「話し手に意識を向けて受け取ったもの(聴こえたもの)に対してコーチは分析や評価をせず、クライアント(話し手)の「鏡」のように存在し続けること」です。改めてお伝えすると、「コーチング」とは、コーチが無理やりクライアントを変化させるのではなく、クライアントが自分の可能性に気づき、自ら本質的な変化を起こしていくことをサポートすることです。

4つの礎(別表)の「人はもともと創造力と才知にあふれ、欠けるところのない存在である(People  are  naturally, creative,  resourceful  and  whole.)」が大きく傾聴の姿勢とつながっているのですが、この一節には「人は自ら答えを見つける力、選択する力、決める力、未来を描く力、自分を信じて進む力を持っている」と言うこともできます。「正しい」答えという意味ではなく、今この瞬間の自分の「答え」を見つける、もしくは「答え」に気付ける力を持っているという意味です。

つまり、クライアントはその力を持っているということをコーチが信じ切るという姿勢のことです。皆さんの周りに一切の疑いなくあなたの可能性をひたすら信じ切ってくれる人はどれくらいいますか。

そして、そのような存在が傍に常にいてくれたとしたら、今と何が変わりそうでしょうか。コーアクティブ・コーチとはそんな存在です。

今この瞬間から創る

コーチングにおける傾聴の姿勢でもう一つ大事なことをお伝えしようと思います。4  つの礎の「今この瞬間から創る」です。人は聴くことでいろいろなものを判断し理解します。日常の中で「あれ?  さっき話していたことと違ってきてるぞ?」や「最初に話していたこととつじつまが合わないな…」と感じるようなことはありませんか。人は「正しく」理解しようと前後の話の流れを整理しながら聴いていますので、「矛盾」はとても気持ちが悪く指摘したくなります。ただ、コーチングではそのような矛盾はよくあることで、むしろ「矛盾」は変化の兆しでありコーチがワクワクする瞬間なのです。しっかり自分と向き合いながら答えを探し、言葉にしていくことを繰り返すことでこれまでの思考とは違う思考が生まれてきますので、最初の考え方と違って当然なのです。

これは本質的な変化の一つの「現象」です。「矛盾」を正す必要は全くなく、そんなときこそ「今、何か自分の中に変化が起きていますか?」「今何かに気づきましたか」と質問をすることでクライアントもそれを自覚し、自分自身となじませていく、受け入れていくプロセスが始まっていくのです。

コーチはクライアントの過去と今との整合性をとり整理することではなく、今この瞬間、目の前にいるクライアントだけに焦点をあてるからこそクライアントは安心して自分自身の「矛盾」とも共にいられます。

「1秒前のクライアントは過去のクライアント」と思って聴くことを試してみてください。

本質的な変化に向けて

聴き手になったときに、前述した「姿勢」を  10  点満点だとしたら、今のご自身は何点くらいでしょうか。

常に  10  点満点がいいという訳ではなく、意識すればいつでもこの姿勢になれるかどうかが重要です。もし難しいようであれば、まずは自分自身に本質的な変化が必要であり、それに向けてコーチという存在が助けになるかもしれません。コーチが自分自身と向き合えるサポートをしてくれることで、自分との対話(レベル  1の傾聴)が可能になりますので、試してみる価値はあると思います。

生のパートナの一人としてライフコーチを雇ってみてはいかがでしょうか?

今回の柴原の記事は週刊ホテルレストランで連載されています。

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