2018/12/04

ネガティブな影響を与えない一言

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

いったん受け取る「~なのですね」

私がよく現場で耳にする会話を事例にしてみましょう。

(例 1)A 氏「私は〇〇だと思うのです」B 氏「いや、私は…」 A 氏の話したことについて即座に B氏が返答もしくは反応するかかわりです。

同じ考え方だと「そうそう!」と盛り上がるのですが、違った場合に A 氏に起こることとしては「受け取ってもらえなかった」「聞き入れてもらえなかった」「否定された」という「解釈」です。

「解釈」とは厄介なもので、勝手な受け手の側の理解であり、発信する側に意図がなくても起こります。

そこから発展し、その勝手な「解釈」によって関係性にヒビが入ることも少なくありません。そこで、いったん受け止めるかかわりを試してみましょう。

(例 2)A 氏「私は〇〇だと思うのです」B 氏「なるほど。A さんは〇〇だと思うのですね。では次に私の意見も話してよろしいでしょうか…」 前後に少し言葉を足しましたが、違いがお分かりでしょうか。

この「~なのですね」の一言がとても重要なのです。例 2 の場合、A 氏は B 氏に受け止めてもらえたので B 氏の意見も聞いてみよう、という気持ちになります。コーアクティブ・コーチング においてクライアントが質問に対する答えを言葉にしたとき、「A さんはこのことを〇〇のように感じていらっしゃるのですね」と「反映」します。これは、これまでもお伝えしてきた「コーチは鏡のような存在」につながります。

関係性において何よりも大事なのは「信頼」です。自分を無視されたり批判されたりすることなく、考えをそのまま受け取ってもらえた相手との間には「信頼」が生まれます。ぜひ、自分の意見を言う前に一言「A さんは〇〇だと考えているんだね」を取り入れてみてください。

要約して確認する

「~の言いたいことは…」 先程も書きましたが「解釈」というのは本当に厄介で、正しく解釈できればいいのですが、受けた影響をこれまでの経験や関係性からくる自分なりの視点を加えて提示し直すので、相手の本来の伝えたかったメッセージを違った文脈で受け取ってしまうことが多いようです。

しかし、社会人としては状況に応じて言外の情報も聴き取りながら自分なりに解釈し、行動することを求められていることも事実です。ではこの厄介な「解釈」をどうすればうまく会話に取り入れられるのか、またよくある会話の例で見ていきましょう。

(例 1)A 氏「昨日 C さんが急に辞めたいと言い出しまして、びっくりしてかなり説得したのですが決心は固いようです。

そうなると来月のパーティーの準備に支障を来しますし、今後もシフトが大変になってくることは目に見えています。どうしたものかと思いまして」B 氏「どうしてそんなことが急に起こるんだ。

普段から部下と会話をしているのか。Aさんの人の管理がなっていないからじゃないのか」A 氏「話はしていたと思うのですが…」 B 氏は A 氏のマネジメント能力の低さがこの事態を引き起こした、と「解釈」したのではないかと思われます。

そして、話の中心は「人が辞める」ということだけを取り上げ、それを感情的に批判している会話です。こうなると、A 氏は言い訳をするか、言われるがまま立ち尽くすしかないでしょう。

そこで、「事実」の登場です。勝手な「解釈」に対抗できるのは「事実」しかありません。話されたことの中から事実だけを抜き取り整理して相手に「確認」します。これが「要約のスキル」です。

どんなふうに変わるのか見てみましょう。

(例 2)B 氏「A さんの言いたいことは、C さんが辞めること、来月のパーティーの品質が不安であること、今後部署内のシフトがうまく組めない可能性があること、減員による影響が読めず不安であること、次の効果的なアクションが何なのか分からず困っていること、ということでいいですか?」

さて、このように返された A 氏の気持ちは例 1 と比べてどんな違いがあるでしょうか。

A 氏自身が話した事柄と A 氏の感情も一つの「事実」として確認しています。コーチングの場においても、クライアントが話す中にはたくさん「話したい」ことが交錯しています。

感情も含めたそれらを一つ一つ切り離し(要約)、確認していきます。そうすることで、クライアントは一番話したいことは何なのかが明確になり、同時にこの会話で何を得たいのかも明確になるのです。

上記の例でいくと、B 氏によって考えるポイントを整理されたA 氏は、改めてその一つ一つについて、自分でできること、誰かにサポートしてもらえばできること、自分の手におえないことが分かってくるはずです。

また、B 氏もこの事態において効果的な策を提案したり、B 氏が直接何かの役割を担うことや第三者への依頼等、各人の役割も明確になります。部下を育成する意味でも、関係性の質を向上させる意味でも、何か反応する前に、この「~さんの言いたいことは」から始まる要約して確認することを始めてみてください。

もちろん、要約して確認したときに違うことも多々あると思いますが、大事なのは、相互に正しく事実を共有できているかです。

さて、いかがでしたでしょうか。「解釈」が人との関係性に大きく影響すること、ネガティブな影響にならないようにする一言の威力をお分かりいただけたでしょうか。今回のこの二つのささいな一言を会社や家庭で使ってみてください。

今回の柴原の記事は週刊ホテルレストランで連載されています。

コメントを残す

*