2017/11/01

組織・チームが成果を上げるために最も大事なこととは?

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私は今、プロコーチとして、特に関係性システムコーチングに携わってますが、遡ること約20年前、実は某中央官庁の官僚として、キャリアをスタートしました。いずれは政治家も目指そうかなんて、偉そうなことを考えてました。思えば遠くに来たものです。

入省して出会ったのは、べらぼうに頭のいい人たち、そしてぐうの音も出ないほどスキのないロジックを突き詰めることを是とする組織風土。

しかしながら、立案する政策も業務プロセスへ感覚的に違和感を持つ中で、私は元気をなくしていきました。

悩んだ結果、合わなかったんだな、と役所を辞め、組織人材開発に携わり10数年。今、いち国民として霞が関を見ると、

「あんなに優秀で、志高く、仕事にコミットした人たちの集団なのに何故望んでいるような成果につながらないのだろう?」

と残念な、もったいない気持ちになることがしばしばあります。

しかしながら、これは官庁だけの現象ではありません。率直にお伝えするなら、多くの企業組織でも、同様なことが起きているのを、コーチ・コンサルタントとしても見てきました。

そこで、「組織・チームが成果を上げるために最も大事なこと」が今回のテーマです。

9月のメルマガでグーグル社に関する研究から、生産性の高いチームの鍵は「心理的安全性」であるということをお伝えしました。https://manejimento.jp/team-building/816

「GoogleはアメリカのIT企業だし、うちとは違うよ」

なんてお考えの方もいるかもしれません。

そこで今回は、「チームの有効性(Team Effectiveness)」に関する、より広範な研究・理論を基に、「組織・チームが成果を上げるために最も大事なことは何か」考察したいと思います。

「チームの有効性」とは「高いパフォーマンス・成果を上げていること、そしてそれが外部環境によるものというより、チームがうまく機能しているから」と言えることを指します。

それでは、「チームの有効性」の最も大きな要素は何でしょうか?

リーダーの資質?

メンバーのやる気?能力?

適材適所?

業務プロセス?意思決定?情報共有?

 

実は、多くの研究から共通して言えることは、「チームの関係性」がベースであるということなのです。

 

まずご紹介したいのは、ダニエル・キム博士の「成功循環モデル」です。このモデルは日本の組織開発の中ではよく取り上げられるので、ご存知の方も多いかもしれません。

このモデルは、組織・チームが成功するための構成要素として、4つの要素を上げています。

関係性の質→思考の質→行動の質→成果の質

 

多くの組織では、「成果の質」を高めるために、社員の「行動の質」を高めることを目指します。そして、「思考の質」や「関係性の質」といった「目に見えないもの」は後回しになりがちです。

しかし、キム博士は、「関係性の質」が成功循環の鍵となる、と述べています。

例えば、よくある悪循環として、以下のようなことがあります。

 

成果が上がらないことで、他責・批判が多くなり、締め付けも厳しくなって、チームの関係性が悪くなる。(成果→関係性)

関係性が悪くなると、本質的なコミュニケーションが減り、各人がチーム全体について考えることができなくなる。(関係性→思考)

自分の限られた役割について限られた情報を基に行動するため、行動の質が高まらない。

結果、成果はますます上がらない。(思考→行動→成果)

 

このような悪循環を断ち切るためには「関係性の質」からスタートし、「関係性の質」を高めることが鍵となります。成果を上げるために、最初に取り組くむべき課題が「関係性の質」なのです。

 

しかし、「関係性の質」と言う目に見えないものを掴みにくいと感じる方もおられるでしょう。まして、上記のような悪循環をどのように防いだらいいのでしょうか?

 

その助けになるのが次にご紹介するLencioniによる「チームの5つの機能不全」モデルです。このモデルによると、チームが機能不全に陥るのは、以下のようなメカニズムです。

  1. 信頼の欠如: 信頼関係がないと、チームメンバーが安心してやりとりすることが難しくなります。メンバーが自分をさらけ出すことを恐れ、助けを求められない環境だと、信頼関係を築くことが難しくなります。
  2. 対立への恐れ: あまりにも和を重んじすぎて、必要な対立を避けていると、生産性の高い知恵は生まれません。1の信頼関係がないと、安心して対立することも難しくなります。(特に、日本人には耳が痛いですね)
  3. コミットメント不足: チームで決めたことが期日までに守れないのは、メンバーのコミットメント不足と言えますが、2の対立を恐れず、しっかり主張することで、当事者意識が高まり、コミットメントを高めることに繋がります。
  4. 説明責任の回避: また、2の対立を恐れていると、説明責任を果たす仕組みを維持することが難しくなり、失敗を繰り返したり、隠蔽が起こったりしてしまいます。
  5. 結果への無頓着さ: 自分の目標達成ばかりを気にかけ、チームの成果に対して無頓着な場合がよくあります。3のコミットメント、4の説明責任が欠如していると、責任回避して終わってしまいがちですが、そうならないような1の信頼関係の構築が重要になります。

 

このモデルでは、チーム全体の結果を出すためには、信頼関係の構築が一番の基盤になる、ということができます。

これらの研究から「成果を上げるチーム」の最大の要素が「関係性」にある、ということをご理解いただけたのではないかと思います。同時にここで改めて強調したいことは、チームの成果を上げるための「関係性の質が高い」とは、決して「仲良しグループ」を意味しているのではないということです。

むしろ、Lencioniのモデルが示しているのは、チームの成果のためには一時的な対立も恐れずにしっかりコミュニケーションができること、しかしベースにはお互いに頼れる信頼関係があるということです。

逆に、このような関係性が築けてないと、どんなに優秀な人材が集まっていても、どんなに優れた戦略やプランがあっても、どこかで瓦解してしまう可能性が高くなるとも言えます。

 

皆さんのチームではどうですか?

 

「対立を恐れずしっかりコミュニケーションができ、いざという時にお互いを頼れる信頼関係をどうやって創っていったらいいのか」ということについては次回以降お伝えしていきます。

 

(参考文献)

Daniel H. Kim, “What is your organization’s core theory of success?”

https://thesystemsthinker.com/what-is-your-organizations-core-theory-of-success/

Patrick L. Lencioni, (2011). “The five dysfunctions of a team”, Jossey-Bass

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