2018/04/12

2人のリーダーの別れ道 ーチームの「関係性」とは何を見るべきなのかー

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私がセールスの現場に立っていた時代、2人のトップセールスマンがいました。A氏は類稀な集中力で毎月売り上げを達成する人でした。一方B氏は社内外から情報収集しながら地道に毎月、毎年売り上げを達成していく人でした。

A氏は『営業は爆発だ』、B氏は『情報なくして戦略なし』をスローガンに掲げながら、ある時同時にそれぞれ10人の部下を持つ課長に昇進しました。

その後、A氏のチームは華やかに売り上げは達成するものの、いつしかチームの中に売れるグループと売れないグループが出来上がっていきました。そして最終的に不協和音の中でチームは崩壊していきました。

一方、B氏のチームは滑り出しこそ緩やかな売り上げ上昇でしたが、やがて継続的に売り上げを達成するだけでなく、課員が育っていくチームとして社内で評判となり、会社に長期的な貢献をしていきました。

二人ともスタイルは違えど優秀なセールスパーソンでしたが、リーダーになってからのこの違いはどこから生まれてきたのでしょうか?

この状況を今振り返る時に、二人のスローガンが一つの象徴のように私には感じられます。

A氏の『営業は爆発だ』は個人に焦点を当て、短期的なタスク(パフォーマンス)の達成にフォーカスしています。

B氏の『情報なくして戦略なし』は社内外からの情報収集、特に売れる人、売れない人、両方からの情報を収集しながら戦略を組み立てていくことで、中・長期的な人の育成、チームの関係性を考慮したアプローチになっていたように思います。

今から思えば、B氏には前回ご紹介した「俯瞰する力+感じる力」(関係性システムの知性®)が自然に備わっていたように思えます。すなわち能力の高いメンバーやリーダーである自分自身の思惑だけではなく「チーム全体に何が起きているかを俯瞰」し、その中で置いていかれているような「メンバーの気持ちを感じる」ことができて、マネジメントに活かしていました。しかし、これだけでは簡単には応用できない「才能」「名人芸」の領域になってしまいます。

そこで、B氏のチームへの関わりを紐解きながら、チームの関係性を見る時の着眼点について、ご紹介したいと思います。

まず1つ目は『チーム全体の声が聴けているか』という点です。

B氏は情報収集を社内外の多方面の人から行っていました。とかく、現場ではベストプラクティスに焦点を当てがちですが、B氏は売れない人たちからも情報収集していました。まさに売れない人たちには売れない理由がある、のです。その売れない人たちの声をも拾い上げ、戦略に盛り込んで活かし、社内外に戦略・戦術を発信していったことが特徴的でした。

前述のA氏のチームでは売れるグループと売れないグループが2つに分断されました。B氏のチームでも同様な2つのグループは存在しましたが、売れないグループは数字には直接貢献できなくても情報を発信することでチーム全体に貢献し、グループ間のバランスを取るようにB氏がマネージしていました。チーム全員が声を出せるチャンスを作ることで、全体の雰囲気はいつもポジティブでチャレンジ精神旺盛なチームとして機能していったのです。

もう1つは『チームの肯定性が高まっているか』です。

肯定性とは活気があり、意思疎通ができていてお互いの貢献を認識し合っている状態を指します。因みにB氏はよくチームメンバーと一緒に春夏は焼肉、秋冬は鍋料理を共に食していました。B氏いわく、全員が一つの網、鍋を囲み、つつっき合うことで話易い雰囲気を創出し、会話を楽しむことが重要だ、と。ひとつの目標に向けて全員でつっつきあうことで意思疎通が図れるとB氏は考えていました。前述のように、B氏はいろいろな声を聴くようにしていたこととも相まって、このチームはいつも肯定性が高く、みんなでチャレンジしていくチームづくりが垣間見られました。その結果、継続的にタスク達成だけでなく、人を輩出するチームとして羨望の眼差しになったと言えます。

継続的に成果の出る、自立したチーム作りをサポートするシステム・コーチング®では「俯瞰する力+感じる力」(関係性システムの知性®)を使いながら、チームの関係性を見立てる際に以下の「4つの着眼点」※に着目します。

1.チーム全体の声が聴けているか

2.声なき声を拾えているか

3.対立に向き合っているか

4.肯定性が高まっているか 

今回は実際のケースをもとにこの中の2つを取り上げましたが、私が40年以上のビジネス経験で出会ってきた、継続的に成功してきているリーダーは、タスクだけでなく人・チームに焦点を当てたアプローチをとっていると感じています。チームの関係性に意識的になるとチーム自らが答えを見つけ、行動を起こせる自立した自走するチームへと変容していきます。是非、みなさんも関係性を意識してチームを見てみてください。

(株)ウエイクアップCRRジャパン トレーナー

  大野 宏

※チームの関係性を診断する「4つの着眼点」は CRR資格コースマニュアルを基に作成

 

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